歯周病について
歯周病とは?
歯科医院は「予防する場所」
アメリカ・オーストラリアでは、歯科医院は治すところではなく、予防するところだと言われています。美容院やエステに行くのと同じ感覚で歯科医院に通っているのです。
その背景には、歯科治療保険適用外であることも関係しています。
治療費が高額であることから、虫歯・歯周病になる前に予防するという意識。
事前に歯を守る、それがその国の習慣としてよい方向で根付いているのです。
アメリカでは、喫煙・肥満は出世の妨げになります。
歯についても同様で、口の中の健康を維持できていない人は良い評価を得られないそうです。
残念ですが、日本にはまだ予防すると言う意識が浸透しておらず、治す場所という認識です。
歯周病によって歯を失う前に
では予防をしていないとどうなるのか? 虫歯は皆さんがよくご存知であるかと思います。
歯周病はどうでしょう? 名前は聞いた事はあるけど、どういう症状かは、実際は良く分からない方も多いのではないでしょうか?
歯周病とは、歯を支えている骨が溶けていく病気です。
食後の食べ残しの歯垢が原因となり、歯を支えている骨が細菌により吸収されていく慢性の病気です。
そのまま放置しておくとやがて歯がぐらぐらと動き出し、最後には自然に抜け落ちてしまいます。
歯を失う原因は20歳代は虫歯ですが、30歳代になるとその原因は歯周病に取って代わります。
日本人の30歳代の約80%が歯周病にかかっていると言われ、35歳以上になると約70%の方が歯周病によって歯を失っているという報告も出ているのです。
日本での歯周病患者数は9,000万人とも言われ、まさに国民病とも言える病気なのです。
歯周病が引き起こす病気
歯周病は歯を失ってしまうだけでなく、その他様々な病気を誘発する原因となる事が確認されています。
聞き覚えのある病気もいくつかあると思います。
認知症
- 脳梗塞
- 気管支炎
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 細菌性内膜炎
- 冠状動脈疾患
- 誤嚥性肺炎
- 腎炎
歯の一つの組織に問題があるだけで、体に及ぼす悪要素がここまであるのです。
歯への意識をしっかり持つことが大切です。
歯周病の諸症状
進行は遅くとも症状は確実に進んでいる
歯周病は歯をささえる歯肉や歯槽骨の組織をじわじわと破壊する病気です。
サイレントディジーズ(沈黙の病気)と呼ばれるほど、ゆっくりとそして確実に口の中の状態を悪化させていきます。
ですが、症状がまったくない訳ではありません。歯ぐきはSOSをきちんと出しています。
下記のような症状に覚えはないですか?
歯肉炎
歯の周りについた歯垢(プラーク)が石灰化して歯に付着します。
歯ぐきがはれ、歯みがきの時の出血、歯ぐきがむずむずしたり痛んだりする、この症状が出ている段階を歯肉炎と呼びます。
歯周炎
歯ぐきや歯槽骨が溶けはじめている状態になると歯周炎です。
歯が長くなったように見えたり、歯がぐらぐら揺れている状態になっています。この段階になると、治療に時間がかかるばかりか、最悪の場合歯を抜いてしまわなければなりません。
歯周病を悪化させる原因
歯周病は、日頃の口の中のお手入れ不足で歯垢がたまり、それがもとで症状が進行していく訳ですが、それだけではありません。下記の思い当たる点はありませんか?
歯並びが悪い(口の中の清掃管理がしっかりと行なえない)
- 糖尿病の方(歯周病に対する抵抗力が弱まっている)
- 喫煙者(血管を収縮させ、歯の周りに栄養が行き渡らない)
- 歯ぎしり(歯周組織に負担がかかる)
- 肉体的・精神的疲労(歯周病に対する抵抗力が弱まっている)
- 薬の副作用
- ビタミン不足
- 甘い物が好きな方
- ホルモンバランスの乱れ
上記の項目は、歯周病の進行をより早めてしまいます。
口の中だけではなく、日頃の生活スタイルに少し気を使うのも、歯周病から口の中を守るための大きなポイントなのです。
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